三三九度の盃ごとは、婚家のヘヤやツギノマなどの客から隠れた場所で行われた。立ち会うのは、婿と嫁の他、仲人、そして雄蝶雌蝶と呼ばれる両親のそろった男女の子ども、他に婿の叔父と嫁の叔母や婿側の祖父母などの親族が付き添ったという場合もあった。
三三九度は三つ重ねの真ん中の盃を使い、雄蝶雌蝶役の子どもが男の子は嫁に女の子は婿にそれぞれ水引のついた金銚子で酒を注いだ。酒を注ぐ順番は、婿入りの場合は婿の方から、嫁入りのときは嫁の方からという様に、その家に来る方からと決まっていたという。また、婿が盃で酒を飲むとき、仲人がその盃を扇子で叩いて邪魔をするという風習があり、これは三三九度の盃ごとのやり方がわからない婿が盃の酒を全部飲み干さないようにするためであるなどといわれている。
三三九度の盃ごとが終わると、仲人は座敷にいる親族たちに「とどこおりなくすみました」と御祝儀が一通り終了したことを報告し、花嫁花婿も披露宴の席へとうつって客をもてなした。