シンキャクは御祝儀の後、一から二ケ月たたないうちの良い日を選んで嫁が実家に里帰りすることで、このときは夫もともに行くこともあった。里帰りのときにはお土産として赤飯を持たされ舅や姑などが送っていき、実家には二晩泊まってきたが、二泊以上は許されなかった。
またこのとき、実家には嫁方の仲人を呼んでおき、結納金の何割かを仲人のお礼として渡すことも行われた。里帰りから帰るときには実家からもお土産を持たされ、両親が嫁ぎ先まで送っていったという。
結婚後、嫁は現在と違っていつでも好きなときに里帰りできたわけではなく、その時期はきちんと決められていた。それは、正月、暮れ、節句、祭礼のとき、そして実家に何かあったときなどだけだった。こうした里帰りのときには嫁ぎ先から一円くらいの小遣いをもらい、その中から実家へのお土産を買って帰ったという。