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末期の水

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 人が亡くなると、亡くなった人の近親者が脱脂綿を水に浸して、それで死者の口を濡らしたが、これを末期の水といった。脱脂綿がなかった頃には手拭いの端を使ったりしたという。
 亡くなった人は北枕にして寝かせ、遺体の上には短刀やナタなどの刃物を置いた。これは、猫が死者をまたぐといけないからだといい、猫を飼っている家では葬式がでると猫を家から外にだしておいたという。
 また、死者の枕元には小さなテーブルを置き、その上には花瓶にさした菊などの季節の白い花を一輪、線香を立てる香炉、皿や箱に盛ったマクラダンゴ(枕団子)、茶碗に盛った枕飯を供えておいた。他に家の神棚には半紙を貼り、葬式が終るまではとらないでおいた。