葬式の前には、四十九個の餅を作った。この餅をシジュウクニチモチ(四十九日餅)といった。四十九個のうち三つだけは大きめに作り、残りの四十六個は小さく丸めた。できた餅は口を北に向けて置いた箕の上や、藁の束の一方を結び、結んだ方を北に向けて置いた上に並べ、亡くなった人の枕元に置いておいた。四十九日餅は四十九個より多めに作っておき、余った餅は入棺が終わると死者の近親者たちが一個の餅を引っ張り合いながら食べた。このため、普段の日に一つの餅を引っ張り合って食べるなといわれた。
この四十九日餅は葬式が終わると、お寺の僧侶が持って帰り毎日一個ずつ仏様にあげて拝んだ。