飛脚は、帳場が施主と相談して決めた葬式の日取りや場所を、亡くなった人の親族や知人たちに知らせる役で、二人一組で出かけた。一組で五、六軒の家をまわったが、班内で人手が足りない場合には隣りの班の人にも飛脚を頼んでいってもらうこともあった。かつては郡内くらいまでは徒歩や自転車で、それより遠方は電報を利用したが、電話が普及してくると全て電話で済ませるようになったという。
また、飛脚には当家から多少の弁当代が渡されたが、行った先の家からワラジセンや清め料といってお金を渡されたり、昼時にかかると食事が用意されてもてなされたりした。特に亡くなった人と血のつながりが濃い親戚ほどワラジセンも多かったので、みな争ってそうした近い親戚の家に行ったという。しかし、電話連絡で済ませるようになってからこうした飛脚への謝礼は無くなっている。