床番はトコトリとか、タイヤク、オモヤクサマ、クモスケなどとも呼ばれ、墓穴掘り、棺かつぎ、穴埋めなどの役割をした。組の男性が四人ずつ回り番で担当したが、順番が回ってきたとき都合が悪い家ではお金を出して他の家に頼んだりすることもあったという。床番の順番は帳面や木の板に各戸の名前を記入し、記しをつけて順番を確認し、それらは次ぎの番の家で保管しておいたという。また、床番は、妊婦のいる家からは出さないとするところを多く聞くが、太田ではそうしたことはないという。
葬式が行われる日の午前中、床番は墓に行ってツルハシやシャベルで墓穴を掘ってきた。墓穴掘りから帰ってくると、イロリのキジリの下で清めを行い風呂に入った。また、このとき着ていったヤマッキや使った道具は一週間は別にして使ってはいけないとされた。
床番は当家から渡されたワラジを履き、越中ふんどしに晒しの腰ヒモをしめ、頭にはほっかむりをして野辺送りに参加した。このとき腰にしめるヒモは、棺にかけるゼンノツナやアトノツナとともに、妊婦の腹帯にすると安産になるという云い伝えがある。ノベオクリ(野辺送り)では、四人で棺を担ぐ役割を果たしたが、床番でも結婚前の人は出世前といって棺かつぎだけはさせなかった。床番は、仏の世話をする役割といわれ、何でも別待遇だった。