入棺は、盥に入れた湯で近親者が死者の身体をきれいにふいてあげることで、座敷にムシロを敷いた上や、布団の上で行われた。このとき使用する湯は、沸かしたお湯に水を入れてうめるのではなく、水の中に沸かした湯をいれながらうめるものだとされた。このため普段、水に湯をいれてうめることを忌んだ。入棺に使用した湯は、近くのヤマの中や、堆肥塚、庭の隅の方などに捨てた。使用した布は、初七日に死者が使用していた布団などと一緒に、家から離れたところで燃やしたが、このとき、燃やした煙が身体にかからないようにしろといわれた。また、このとき使用した盥も一週間は使用してはならないとされた。
入棺など死者に触れたあとには塩・削り節・酒・豆腐を食べて清めを行った。