人が亡くなった当日には、昼は野菜のおひたしのような簡単な食事を作り、夜はけんちんなどを作って親族やお手伝いの班の人たちに食べさせた。
葬式の当日のお昼は、本膳を用意して会葬者に振る舞った。本膳は猫足膳で出し、オヤワンに白米のご飯、シルワンには賽の目切りの豆腐と干瓢の味噌汁、お皿には人参とコンニャクの白和え、オヒラには五品くらいの具が入ったガンモドキの煮しめ、オツボには甘く煮て片栗粉でとろみをつけた南京豆かまんじゅう、その他に、ちょこに酢のもの、小皿に漬物などを用意した。このときにうどんは、長く続くといって縁起が悪いので出してはいけないとされ、魚のナマグサも葬式の食事には出さないものとされていた。葬式のときの食事の座順には特に決まりがなく、マカナイの方でいつも二〇膳くらい用意しておき、会葬者には順繰りに食事をとってもらった。
他に、葬式の団子はいっぱい作るものだとされ、かつては五升もついて団子を作ったという。お重に団子をいれてお墓に持って行ったり、お茶菓子として砂糖をかけた団子をだしたり、夜の十三仏の念仏の後に食べるなど、葬式の日には何かと団子を食べた。余った団子は手伝いに来た人で分けて持ちかえった。
葬式が終った夜には刺身、魚の煮つけ、がんもどきの残りなどとともに、人参入りの味噌うどんを煮て振る舞ったが、現在では寿司をとることが多いという。