香典は、戸主が亡くなった場合には、その子ども、兄弟、嫁の実家など、死者に近い親戚ほど多く出した。香典の他に花輪・果物籠・旗・セイシリョウ(清酒料)なども出した。清酒料はその内容を半紙に書いて座敷の鴨居のところに貼り出したので、香典よりもこの清酒料を多く出すことがあったという。
なお、葬式が終ると、果物や旗は当家に少し残して、残りは手伝いにきてくれた女性たちに分けて持ちかえってもらった。旗の布は半纏の裏地として使用したという。
また、香典返しはまんじゅう屋で頼んで作ってもらった五〇銭の箱入りのまんじゅうで、数は七から八個入っていた。普通は七個入りで、八個入っているのは大尽の家だったという。