お祭りといえば、笛や太鼓の音の響きのもとに繰り広げられるもので、お囃子は祭りでは不可欠でほとんどの芸能で重要な役目を担っている。民俗芸能の中で最も数多く演じられているものはお囃子で、中でも祭り囃子が最も盛んに行われている。ひとくちにお囃子といっても、芸能の種目により楽器の種類や演奏のしかたには当然ながら多少の違いがある。
栃木県内の祭り囃子は、屋台囃子・大杉囃子・日光囃子の三系統に大別されている。屋台囃子は江戸囃子とも神田囃子ともよばれるお囃子で、同時に祭礼囃子や祭り囃子といわれることもあり、単にお囃子と言った時にもこの屋台囃子のことをさすのが一般的で、いわばお囃子の代名詞でもある。
大杉囃子は主に県南の小山市や下都賀郡内に多数分布し、茨城県稲敷郡桜川村阿波鎮座の大杉神社の悪魔払いの阿波大杉信仰の「アンバサマ」のお祭りに演奏され、道中囃子とも野囃子ともいわれる。楽器は大太鼓・小太鼓のほかに、鼓のオオカワ(太鼓)コカワ(小鼓)笛が加わる。太鼓・小鼓・笛の人数の制限はなく、曲目も流行歌を巧みに取り入れるなど自由闊達な雰囲気である。
日光囃子は、毎年四月一六日一七日に行われる、日光二荒山神社の弥生祭に引き出される花屋台上で演奏されるお囃子で、大太鼓・小太鼓・鉦・笛と各地の既存の楽器の外に三味線が加わり、神橋を境にした東町の花屋台では常磐津流、西町では清元流のお囃子が演奏されるものである。
高根沢町内のお囃子には、神楽囃子・屋台囃子・天祭囃子・お会式囃子等がある。神楽囃子は、上高根沢の太々神楽で演奏される。これについては前項でふれた。
なお高根沢町文化協会お囃子会には、高根沢町内の、太田・伏久・東町中区・天神坂・石末宿・宝積寺中組の六囃子会が会員として加盟してお囃子の発展を目的としている。