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〔芝居〕

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 寺や神社の祭りの日である寺社祭礼の日には、儀式としての祭礼とともに余興として付祭が祈願・奉納の名目で行われることが多い。毎年決められた同じ日に繰り返し行われるもので、村人の生活に密着した民俗の中に取り込まれて年中行事になり、また娯楽として多くの人々に楽しまれた。中でも歌舞伎芝居や人形浄瑠璃は人々に最も愛された花形的な存在であった。
 栃木県内には、現在も葛生町の牧歌舞伎や鹿沼市の奈佐原文楽等々があり、他にも農村歌舞伎や人形芝居が伝えられていたが、すでに消え去ってしまったり道具が残されていたりしている。毎日の激しい労働の束の間の休息の日が祭りの日でもあった。この日を迎える楽しみや喜びの大きさ、深さは計り知れない。心身を癒して明日への活力を養う大切な日としての節目が祭りの日でもある。
 高根沢町内では、中阿久津天満宮の奉納芝居は今も続けられている。また伏久には人形芝居と芝居用の舞台を貸し出す舞台連とがあった。