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目次
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第九章 言語伝承―耳の文芸―
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第二節 橋と伝説
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〔橋と伝説〕
〔橋と伝説〕
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古代から中世にかけて、川は生活圏の境界の役割も持っていた。だから、橋はその境界に建てられるものとして、こちらとあちらを繋ぐと同時に、次元の違う世界との交流が行なわれる聖なる場所でもあった。華の都の平安京の夜を震え上がらせた「茨木童子」が、女性に化けて、切り落とされた片腕を取り戻しに来て、声高らかに去っていった「一条戻り橋」や鞍馬山の修業で力を付けた牛若丸が怪力法師弁慶に最初に出逢った「五条の橋の上」なども、伝説の世界では橋が重要な場所であることを示している。