大地の割れ目

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宝塚市は、北摂山地と六甲山地という二つの山地と、武庫平野という一つの平地の出合いの場所であるといったが、その意味を明らかにするたいへん重要な事実をも、アーツは明瞭にとらえている。
 六甲と北摂山地は、鋭い線で切られている。これは生瀬(なませ)から船坂に至る太多田川の断層谷で、蓬莱峡(ほうらいきょう)の奇勝は、この谷筋に沿う断層運動による破砕のあらわれである。この線の延長は直線的に東に延びて、北摂山地と武庫平野とを分離する。そしてさらに東に延長して、千里丘陵と箕面山地を分け、写真ではやや不明瞭になるが、高槻を経て、石清水(いわしみず)八幡宮のある男山の南を通り、京都盆地の南にまで達する。見かたによると、この線は、広い意味での大阪盆地の北縁を限定する線であり、重要な地質構造線である有馬―高槻構造線(後述)と一致するのである。
 アーツの映像では、市街密集地ほど黒ずんでみえるが、宝塚市市街部もその例にもれない。そして宝塚市市街地の黒点がまさに有馬―高槻構造線上に位置していることは、温泉・鉱泉で象徴される宝塚の自然のしくみのうえで、第二の重要点であることがわかるであろう。