山地と平野

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宝塚市域の基盤岩と被覆層の分布域は、画然と分かれる。有馬―高槻構造線以北と六甲山地は、基盤岩の露出する部分であり、この山地内には被覆層はあっても薄く、分布も狭い。
 これに反して、武庫平野の地下には、厚さ数百メートルに達する被覆層が分布している。その延長部である大阪平野では、大阪市港区田中元町四丁目で、OD―1号とよばれている深層ボーリングが実施されたが、深度九〇七メートルでも、なお基盤に達しなかったという事実がある。地震探査などの情報を加えて解釈すると、大阪盆地の中心部では、被覆層の厚さは一五〇〇メートルに達する可能性がある。そうすると、武庫平野を含む大阪盆地を埋める被覆層を取りのぞいて、基盤のうえに立つと、六甲山地は二五〇〇メートルに及ぶ日本アルプス級の山地となるわけである。この事実は、のちに述べる地殻変動量をあらわす資料として記憶されなければならない。山地と平野の対立は基盤岩と被覆層の分布の区分をしめすものともいえる。