宝塚市域の古生層は、丹波地域広く分布する古生層の南縁を占めるもので、これらをひっくるめて丹波帯の古生層とよんでいる。日本列島には、各地に古生層が分布していて、断片的になっている部分が多いが、丹波帯は最も大きな面積を占めるものの一つである。もともとこれらの古生層は、つながっていたものであったが、その一部が変成岩になったり、花こう岩の貫入を受けたりして分断されたものである。
この古生層を形成した海水をたたえた地域は、本州地向斜とよばれている。地向斜というのは、地球表面の細ながい沈降帯で、海になっている部分をいう。そこでは埋めたてる土砂の量と、沈降する量とがつりあっていて一万メートルにも及ぶ古生層が形成されたとみられる。当時日本列島の地域全体が海域であり、列島の形は何もなかったのである。
地向斜部の沈降がある限度に達すると、逆に上昇に転じ、その運動のなかで、堆積した地層は激しく褶曲(しゅうきょく)しながら陸地となる。本州地向斜が消滅した変動は本州変動とよばれている。