本州変動により陸域となった古生層は、中生代の長い期間にわたって浸食・削剥(さくはく)を受け、太平洋側に誕生した四万十(しまんと)地向斜の後背地となっていた。後期中生代には燕山(エンシャン)変動とよばれる火成活動の舞台となり、古生層は分断されることになる。
現在、分断された古生層は、それが発達する地域名をとって、丹波帯・秩父帯などに区分され、それぞれの地質構造や、岩相上の特徴が研究されている。
図4は、後期中生代の火成活動によって出現した流紋岩類と花こう岩および被覆層を取りのぞいた、近畿地方の基盤地質構造図である。これから基盤地質の構造は、本州弧に平行な帯状構造をしていることがわかる。宝塚は丹波帯と領家帯の境界付近に位置している。
この地域も本州変動によって陸化したが、その詳細について知る手がかりはない。従来古生代層ばかりだと考えられていた丹波帯のなかにも、中生代の地層が最近になって発見され、本州変動の実態についても再検討が加えられつつある現状である。