領家帯とは、西南日本を内帯と外帯に区別する大断層―中央構造線の北側に位置し、古生層起原の変成岩と花こう岩類からなる地域である。
領家帯の花こう岩類は、変成岩との関係から、古期と新期に大別され、古期のものは本州変動時―中生代初期の貫入と考えられてきたが、同位元素による年代測定では、古期・新期の区別なく、その大部分が一億一〇〇〇万年~六〇〇〇万年前の範囲に入り、後期中生代の白亜紀という結果が最近出され、あらたな問題が提起されている。
近畿地方の領家帯の岩石は、丹波帯の南の大和高原・生駒山地や、淡路島北半部に広く露出している。宝塚付近では、六甲山地南縁の布引(ぬのびき)花こう閃緑(せんりょく)岩が領家帯の花こう岩類の一員とされており、宝塚市域に露出はみられないが、武庫平野の被覆層の基盤として、領家帯の岩石が伏在する可能性が強い。
有馬-高槻構造線は、もともと丹波帯と領家帯の境界をしめすものであり、その後の地質構成や地形発達に、大きな影響を及ぼしたものと考えられる。