有馬―高槻構造線

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物が圧縮される場合に、大きく分けて二通りの変形の仕方がある。一つは圧縮される方向に斜交する二方向の割れめが生じる場合で、北摂山地の場合はこれにあたるが、かたくてもろい物体におこりやすい。第二の型は圧縮の方向に直角にしわのよるような変形で、武庫平野の部分はこれに近く、しなやかな物体におこりやすい型である。
 なぜ有馬―高槻構造線を境にしてこのような相違があらわれたのであろうか。これを境にして、南北に別の力が働いてきたとは思われないから、力を受ける側の岩体の性質が異なっているのではないかと考えられる。そして、前節でも述べたように、この線がまさに基盤の古生層岩体と領家花こう岩体との境界にあたるらしいということは、この見解を支持するであろう。そして有馬―高槻構造線とは、二つの性質のちがう岩体が、異なる変形をしたために、その間を調節するために発生した割れめということができるであろう。