武庫川の水利

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以上のような経過で成立してきた宝塚をとりまく自然環境は、極めて特徴のあるものであることが理解されたと思うが、そのなかに豊かな恩恵と同時に、災害の素因をも秘めていることも知ってもらいたい。
 まず人間の生活環境として宝塚の自然を考えてみよう。二つの山地が北部と西南部に位置し、東南に開いた武庫平野をもつこの地域は、温暖乾燥の瀬戸内気候のなかにあって、生活環境として絶好の自然の恩恵を受けているといえる。
 人間のみならず、あらゆる生物は水なくしては生きられない。この地域では武庫川とその支流が豊富な水を供給し、むらづくり、まちづくりの基本的な要件を備えてきた。
 しかし大都市近郊の住宅都市として、急速に発展しつつある宝塚市では、水の需要が急増している。武庫川水系の水量は、現在のところでは各種用水の必要量をじゅうぶん補えるが、斑状歯(はんじょうし)の問題が起こったように、逆瀬川・仁川など六甲山地に源流をもつ河川には、フッ素イオンが含まれているという水質の問題がある。ここでは武庫川水系の水質を考えてみょう。