長尾山にある小型横穴式石室古墳の特色の一つは、副葬品がすくないことで、わずかに土師器や須恵器、それに刀子がみられるにすぎない。これは完掘された雲雀山東A・B群の全体を通じてみても、平井古墳群の一部の例からもいえる。その他に、特異な遺物として、鉄滓(てっさい)が雲雀山東B6号墳の石室内から出土しているので、鍛冶(かじ)とのつながりも想像されるが、具体的なことは明らかでない。
出土している須恵器は、胎土・成形ともに粗雑で、その時期は七世紀前半とみられるものだけである。この時期は、とくに雲雀山西尾根の下端に立地する平井窯跡との関連が注目されるが、わずかながら平井窯跡の時期がおくれるようである。