さて延宝六年(一六七八)、いよいよ巡見使がやってきた。その状況については、ただ巡見経路がわかっているにすぎない。巡見使一行は正月二十九日豊島郡池田村(池田市)に到着、その日安倉村から原田郷(豊中市)をまわって当日は池田村に宿泊、そのあと三十日に川辺郡西多田村(川西市)、二月一日に内馬場村、二日上野村、三日に槻並村(以上猪名川町)に泊り、四日には大原野村に泊っている。五日は能勢郡宿野村(大阪府能勢町)に泊り、六日には吉川村をまわったうえ余野村に至って泊り、七日に木代村(以上東能勢村)を経て島下郡中条村(茨木市)の巡見に向かっている。
以上の行程をみると、市域では正月二十九日に安倉村の巡見がおこなわれたことがわかる。かならずしも直領の全村を巡見するとはかぎらないが、その前後に安場・小浜・中山寺をまわったかもしれない。そして二月四日には槻並村から長谷・大原野・境野・玉瀬・切畑あたりを巡見して大原野に泊り、五日には佐曽利村あたりを通って能勢郡に入ったものと思われる。小林村の巡見については、明らかでない。
表47 市域の延宝検地を担当した大名
村名 | 支配代官 | 検地担当大名 |
---|---|---|
小林 | 中村杢右衛門之重 | 高槻藩永井直時 |
上佐曽利 | 〃 | 〃 |
下佐曽利 | 〃 | 〃 |
長谷 | 〃 | 〃 |
大原野 | 〃 | 〃 |
境野 | 〃 | 〃 |
玉瀬 | 〃 | 〃 |
切畑 | 〃 | 〃 |
南切畑 | 〃 | 〃 |
安場 | ||
小浜 | 五味藤九郎豊旨 | 尼崎藩青山幸利 |
安倉のうち | 高槻藩永井直時 | |
中山寺 | 〃 |