以後、江戸時代中期・後期には領知の変遷は、直領の多い市域北部ではまったくみられない。わずかに市域南部において延享年間(一七四四~四七)と文政年間(一八一八~二九)に変化があっただけで、市域の所領配置は元禄以降ほとんど変化がないまま廃藩置県を迎えたといってよい。江戸時代中期、延享年間の変化というのは、延享三年に田安徳川氏領が市域に一ヵ村(一部)生まれたことと、翌四年に篠山藩松平氏(形原(かたのはら)松平、与副(ともすけ)系)領がこれまた一ヵ村生まれたことを指している。また江戸時代後期、文政年間の変化というのは、文政六年に忍藩阿部氏領が公収されたこと、同年と同十年に一橋徳川氏領が、また十一年に尼崎藩松平氏領が市域に出現したことを指している。
表59 延享3年(1746)田安徳川氏の所領(御賄料)
国名 | 郡村名 | 領知高 | |
---|---|---|---|
石合 | 石合 | ||
摂津 | 川辺郡(安倉のうち・中・猪名寺 | 1,269.131) | 13,858.2606 |
有馬郡(草下部・上津上・上津下・上小名田・下小名田・下山口一名来・生野・平田・中 | 4,678.258) | ||
西成郡(南方新家・薬師堂・柴島・北長柄・南長柄・蒲田・川口・増島・高畑・本庄 | 4,008.821) | ||
島下郡(上中条・中・橋之内・内瀬・太田・真砂・惣持寺・庄一戸伏・牟礼・中城・中河原 | 3,902.0506) | ||
和泉 | 大烏郡 | 26村 | 13,808.2835 |
播磨 | 加西郡 | 36村 | 12,817.854 |
甲斐 | 八代郡 | 7村 | 30,041.6285 |
武蔵 | 多摩・高麗・入間郡 | 14村 | 17,914.09295 |
下総 | 埴生・相馬・香取郡 | 10村 | 15,274.80225 |
計 | 128村 | 103,714.92135 | |
(表高) | (100,000.000) |