波豆村の歎願

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波豆村は明治九年四月五日付で、兵庫県令神田孝平宛に「改正ニ付建言具伸」を提出し、つぎのように述べている。地位等級取調帳を差出したところ、それでは地価が低すぎると「高租ノ指令ヲ蒙(こうむ)」った。しかしこの指令はどうしても納得できない。波豆村は山村で極めて悪い条件のもとにある。それを一つ一つ枚挙し難いので、実地の景況を視察してほしい。「然ラスンハ何ソ是ヲ奉戴スルヿ(事)ヲ得ン哉然(レ)とも(とも)一連ノ朝旨遵守スヘキヲ以テノ故ニ尊卑同一議決ヲ評シ以テ等級ヲ層進改載ス伏乞冀(こいねがわ)クハ是ニ依テ採用シ玉ハンヿヲ」と百姓総代福永文輔・副戸長福本忠三郎・福井藤治郎・戸長石田宇平二(治)が連名捺印している。
 また同村は同年十月十七日付で「奉歎願候」を兵庫県権令森岡昌純宛に提出した。「今般地租御改正ニ付地位等級御割宛(当)之御目標奉戴仕候」しかしながらこの村は辺鄙な土地であり、鳥やけものの類多く、また水害や旱害をこうむることが屡々(しばしば)である。このような事情を申上げ、破免のことを歎願したが、「本年五月御出張先ニ於テ御指令通御受可仕様段々之蒙御説諭ヲ尚又外壱ケ村ニテモ相減候節ハ其村方ト同様ニ可取斗旨被仰付依之御目標通等級帳奉指上置候」。ところが今年は三分の一が旱損である。しかしそれについては「全村方唱違仕候者奉恐縮候」。そのかわりさきに差出した等級帳をいちおう「御下ケ被成下度此段伏而奉歎願候」という内容である。これに対して兵庫県は「書面願之趣難聞届事」と書類を却下した。
 同年十二月十八日には三たび、「地位等級取調帳」とともに「奉歎願候口上書」を差出した。すなわち、昨年十二月以来歎願してきたが、「御説諭ヲ蒙リ無拠御指令通リ奉御受罷在候得共御指令ニ基キ候テハ迚(とて)モ租納難出来」い。そこでこのたび差上げた等級帳について、「何卒右至急御許容被成下度最早租納金取立ニモ差掛リ候ニ付則チ村役人並ニ惣代ヲ以テ奉歎願候」というものであった。その結末はわからない。