武庫郡農事試験場

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武庫郡農事試験場は、これらの農園の技術指導に深いかかわりをもったと思われる。この試験場は、郡長阿部光忠が、明治三十五年の通常郡会に郡農事試験場設置経費予算を提出し、郡会大いに賛成して西宮町夙川堤の東側字川尻の地に設けられたのである。ここでは稲麦類、果樹・蔬菜類や苺・草綿・黄蓮および六〇余種の草花類にいたるまで栽培し、栽培技術を研究教授するだけでなく、種苗類を配布し、巡回指導もおこなったので、武庫郡の栽培技術は向上した。三十八年に農事試験場がおこなった調査によると、果樹栽培が発展しつつある村は、良元・甲東・武庫・須磨の四カ村であって、他に率先して一町歩以上の地に果樹を植付け、その設計がよく、将来有望な模範農園は、甲東村の甲東園、須磨村の百々園、良元村の清香園その他すでに名称を挙げたものであった。