西谷村の要請

300 ~ 301 / 620ページ
このような事態をふまえて七月十一日、西谷村は村財政の立場から神戸市へつぎのように申入れた。貯水池新設工事はすでに着手されつつあるが、これによって西谷村のうち波豆および大原野むらの一部が貯水池域内に含まれ、戸数約三〇戸・耕地三〇町歩・山林原野七〇町歩が潰地となる。西谷は村税によるほか財源がなく、「直接国税附加税ノ如キ制限限度迄課税シ来リ居リ、貯水池ノ新設ハ会社工場等設置ト異ナリ素ヨリ貴市ノ営造物タルヲ以テ之ニ対シ課税ノ途ナク村税財源ヲ減殺セラルルノ事甚シク本村痛痒(つうよう)実ニ甚大ナリ 故ニ貯水池域内ニ属スル河川堤塘道路溝渠ハ従来本村費ヲ以テ支弁シ修理保存シ来リタル縁故ト且又如上ノ理由トニヨリ該道路溝渠河川堤防等ヲ本村ヘ無代下附ヲ受ケ村ノ基本財産ニ編入シ之カ収入ヲ充当シ以テ前記減殺村税ノ一部ヲ補填(ほてん)セントスル次第」であるから、右道路などを他に払下げるなどのことをしないよう予め言明してほしいという請求であった。同じ主旨を八月一日および六日にも申入れた。これに対し八月中旬に十一日付の回答があったが、調査未了でもあり同時に解決すべき問題もあるので今直ちに回答できないと述べている。