波豆むらの要求

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六月三十日には福井委員長・奈良平重信・石田英雄三名が神戸市乾助役・中山書記に会い、「用地外買収ハ用地内ト同一価格ニセラレタキヿ、貯水池内ノ魚類獲得、水車の水利補償、地上物件不当ニ低価ナル分の補償追求、小作者救済労働者救済等ヲ依頼」した。七月一日、西谷村へ出張の郡長に、土地価格の値上げ交渉方を要請し、郡長は近日中波豆へ出張し視察することを約束した。三日・四日・七日・八日・十日・十三日には委員会を開き、調査結果の報告や村との連絡につき協議した。十四日は郡長が来村し収用地を実地踏査した。
 二十日の委員会および二十一日の総集会で水道用地に関して現在どのように措置すべきかを議題としたが、熟慮を要するため翌二十二日も総会を開いた。しかし「硬派ト軟派トアリ更ニ十分調査スルヿニ決シテ散会」した。二十三・二十四・二十五日は委員長が委員各個人の意見と小作者・労働者・用地外担当の委員の意見を聞き、その夜総集会を開き、小作救済、労働救済願出、用地外宅地建築物地上物件補償申請、収用圏内土地収用申請、同上宅地家屋地上物件申請、用地外土地収用申請などの出願書に調印し出願の準備をした。
 二十七日には福本藤三郎・奈良平重信は村長に面会し翌日郡役所行きを約束させ、二十八日は委員長と永瀬庶務が村長と伊丹へ出張した。二十九日山村郡書記と神戸市役所を訪れ、準備した小作救済願いなど五件につき強く要請した。三十日夜集会を開き、出張交渉の顛末を報告し、つぎの決議をした。すなわち(一)売却する者は発表価格にて売却す。(二)売却せざる者は其旨を翌朝委員長まで申出る事。三十一日は幹部会を開き、共有財産を神戸市の発表価格で売却することに決定し覚書に捺印した。