堰堤嵩(かさ)上げ工事は昭和四年四月に開始され、その十日には用地買収の伴が市会を通過した。この工事によって、三田・豊岡線道路が羽束川と交差する地点に新たに橋梁を架設し、波豆むらを横切り波豆川を渡るところに波豆橋をかけて、在来の道路に連絡した。波豆八幡神社の参詣道は、国道から同じ幅の道路を分岐し、神社の境内を巡って正面から参詣できるようにし、池水に面する部分は堅固な土留石垣を築き手すりをつけ、鳥居は石垣の上に移した。貯水池を横切る水道橋の嵩上げ工事は、既設のコンクリート橋の上に、さらにコンクリート橋をつぎたし橋面を満水面上三メートルとした。羽束川量水開渠(かいきょ)は水没するので新たに設置した。
この嵩上げ工事によって、波豆内の移転家屋は二二戸、水没した田畑・山林・宅地等は約二三町歩であった。
昭和六年八月、嵩上げ工事は全く終了した。