しかしこの昭和十三年には、宝塚にとって忘れることのできない二つのことがある。その第一は、財団法人宝塚音楽歌劇学校の文部省による設立認可である。大正八年一月六日宝塚少女歌劇養成会を解散して、私立宝塚音楽歌劇学校（予科一年・本科一年・研究科三年、後に五年）となっていたが、これが予科一年・本科二年の三年制となり、高等女学校卒業生は本科一年に編入、二年制となったのである。第二は歌劇団が、芸術使節団としてドイツ・イタリーを訪問し、翌十四年はサンフランシスコ金門湾に日本館ができた記念のための公演と、ニューヨーク万国博のジャパンデー参加のため四月から七月までの間アメリカを訪れたことである。これによって宝塚の歌劇と地名は、世界の人々に知られていった。