神社および寺院に関しては、氏子総代・世話人が建物等の管理やそれにともなう行事の運営に当っていたが、とくに問題のある場合は役員会で協議された。昭和九年室戸台風後の十月二十一日の協議事項はつぎのように記されている。「同日午後一時ヨリ氏子総代並ニ役員会開催去ル九月二十一日暴風水之際住吉神社本殿並拝殿被害ニ付、是ガ復旧工事ニ付神職塚本益氏ヨリ説明アリ、実地視察之上協議スベク同神社ニ参集、破損箇所之修繕ハ勿論、復旧ノ様式ニ付原状維持説、或ハ銅板葺又ハ原状ノママ破損箇所ノミ修繕シ本殿ニサヤ増築廊架(下)新設等ノ意見アリ、結局原状維持復旧工事ニ決定シ、工事奉行トシテ氏子総代一同ニ委任スル事トシ屋根職人ヲ紹介スルコト」となった。同月三十一日の「午后一時ヨリ役員並ニ氏子総代会開催、住吉神社復旧工事ニ付屋根葺請負人ヨリ設計書仕様書送付ニ付協議セシ処、原状維持復旧工事トシ総屋根葺請負五百五十円ニテ契約決定ス、但シ箱棟ハ別ニシテ境内ノ倒木杉ノ木ヲ用ユル事」となった。翌十年三月七日には、氏神神殿復旧後、拝殿の模様替ならびに神饌(しんせん)場・物入部屋増築について協議した結果、「今後部落ニ於テ工事ヲ行フ場合ハ公入札ニ賦スルコトヲ決定ス、但シ五拾円以下ナルトキハ随意契約ヲナスコトヲ得ル、部落直営デ行フ場合ハ此ノ限リニアラズ」と決定した。
安倉には、中山寺宝蔵院の下寺という文珠院があるが、この寺の宅地を借用したいという人の申出があり、数回の協議の後結局世話人による決定を役員会が認めることで解決したようである。