第一次農地改革は今後五カ年以内に急速かつ全面的に、健全な自作農家を創設する方針であって、すくなくとも全国で一五〇万町歩、兵庫県では割当てられた三万一八〇〇町歩につき実施する。このため不在地主の小作地全部と、在村地主の小作地のうち、三町六反歩を越える小作地は耕作者に譲渡しなければならない。その価格は、土地賃貸価格に各地域毎に定められた倍率を乗じたものである、ということであった。それによると、土地台帳の地目が田であるものおよび地目が田畑以外でも現況が田であるものは、武庫郡四一倍、川辺郡三九倍、土地台帳の地目が畑であるものおよび地目が田畑以外でも現況が畑であるものは、武庫郡五〇倍、川辺郡三七倍であった。農地を解放した地主には農林省から報償金が交付されたが、この地方の金額は表87のとおりであった。
表87 農地開放地主への報償金
等級 | 反当金額 | |
---|---|---|
田 | 一等地(88級以上の地) | 300 円 |
二等地(87級地) | 250 | |
三等地(85,86級地) | 200 | |
四等地(78-84級地) | 150 | |
五等地(73-77級地) | 100 | |
六等地(72級以下の地) | 60 | |
畑 | 一等地(80級以上の地) | 180 |
二等地(78,79級地) | 150 | |
三等地(75-77級地) | 120 | |
四等地(62-74級地) | 90 | |
五等地(56-61級地) | 60 | |
六等地(55級以下の地) | 30 |
『兵庫県農地改革史』より
自作農創設維持事業の実施主体は市町村あるいは市町村農業会であり、地主と耕作者の間を斡旋することにより事業がおこなわれた。第一次農地改革による自作農創設の昭和二十一年二月一日から同年七月二十日までの実績を表88に示したが、その進行は遅々としたものであったといえよう。
表88 第1次農地改革自作農創設実績
村名 | 人員 | 田(畝) | 畑(畝) | 溜池・其他(畝) | 宅地(坪) |
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良元村 | ― | ― | ― | ― | ― |
宝塚町 | 34 | 201 | ― | ― | ― |
長尾村 | ― | ― | ― | ― | ― |
西谷村 | 15 | 366 | ― | ― | ― |
合計 | 49 | 567 | ― | ― | ― |
『兵庫県農地改革史』より