未墾地の買収

468 ~ 469 / 620ページ
戦時中、食糧増産への努力がなされてきたが、終戦によって食糧難はますます深刻となった。昭和二十年(一九四五)十一月、緊急開拓事業実施要領を閣議で決定し、食糧増産と軍人・軍属の復員者や外地からの引揚者、都市の戦災による失業者の失業対策として農地開発営団の事業とともに緊急開拓事業が計画されて、旧軍用地国有林野、公有・民有の山林原野等が開墾されることとなった。
 兵庫県でも、緊急開拓事業として新設された農地部開拓課により地区が指定されたが、実施には多くの困難をともなった。
 政府は計画を改める必要を認め、二十二年十月開拓事業実施要領を定めて、計画年度の延長と開拓事業の方針を改め、第二次農地改革の自作農創設の一環としておこなうことにし、未墾地取得は県農地委員会の計画によることになった。開拓地の選定は、昭和二十一年一月二十二日勅令第三一号にもとづき成立した開拓委員会によっておこなうことになり、二十二年三月十日第一回開拓委員会が開かれた。さらに二十四年五月三十一日政令によって、兵庫県開拓審議会運営規定を定め、運営することになった。

写真240 旧長谷開拓地


 さて、二十三年度分、県農地委員会未墾地買収実施における宝塚市域関係分は、川辺郡西谷村長谷の六町一畝二〇歩、対価一万二三四六円二六銭、所有者二名、同村境野九町歩、一万九四四〇円一銭、二名であった。

写真241 旧境野開拓地


 なお一〇町歩以下の中小団地については、市町村農地委員会でも計画できたのであるが、その分については表93に示した。
 

表93 市町村農地委員会未墾地買収実績表

買収期日農地委貝会面積対価筆数所有者数
昭和23.12.2川辺郡長尾村2.502703.9622
川辺郡西谷村29.30610,132.9833
  24.3.2川辺郡長尾村1.021300.4431

『兵庫県農地改革史』による


 
 右の民有地の場合と同様、国有未墾地についても、県農地委員会が県開拓審議会に諮問し、適地と思われるものの移管計画を立て、知事の認可を受けることになっていた。認可されたものは農事に精進する人に売渡すまで、農林大臣が管理するこになとるのである。兵庫県では国有林野や旧軍用地が多かったが宝塚市域では国有林野に関するものはなく、旧軍用地については、表94の二件のみである。
 

表94 旧軍用地移管実績表

移管期日地区名所在面積対価旧所属
郡市町村
昭和22.10.2大阪陸軍獣医資材支廠長尾分廠川辺長尾202.613199,290.00陸軍
  26.11.1同上91615,415.40

『兵庫県農地改革史』による