使節団の報告書

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「第一次米国教育使節団報告書」はその第一章において、自由な日本国民を作りあげるためには、生徒の経験を活用しその独創力を発揮させなくてはならないのであるが、そのためには教師各自が画一化されることなく、適当な指導の下にそれぞれの職務を自由に発展させることが必要であり、教育制度は高度の中央集権化や、強固な官僚政治にともなう害悪を受けないため、地方分権化が必要である、と述べている。
 第三章では初等および中等学校の教育行政についてつぎの諸点を提案している。(一)市町村および都道府県の住民を広く教育行政に参画させ、学校に対する内務省地方官吏の管理行政を排除するために、市町村および都道府県に、一般投票により選出する教育行政機関の創設を提案する。(二)義務教育を課税で維持し、授業料は無徴収とする。義務教育は男女共学制で、修業年限を九カ年、最初の六カ年は小学校、つぎの三カ年は現在小学校の卒業児童を入学資格とする各種の学校の合併改変によって創設する初級中等学校において修学せしめる。さらに三年制の上級中等学校を設置し、初級中等学校よりの進学希望者全部に、種々の学習の機分が与えられるようにすべきである。
 米国教育使節団の右の報告書は、日本の戦後教育の方向を定め、その具体的形態を示したものであった。