雇用農家と被雇用農家

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農家の間の雇用・被雇用関係をより詳細にみることにしよう。さきにみた表102の雇用農家二九戸のうち、「何軒の家の人を雇うか」という問に答えた二四戸についてみると、一軒の人だけを雇う雇用農家数は八戸、二軒の場合は四戸、三軒は六戸、四軒は二戸、五軒は二戸、九軒が一戸、一三軒が一戸である。これとは反対に「雇われる一軒の家が何戸の異なった農家に雇われているか」をみると、一戸だけに雇われる家は一〇軒、二戸に雇われる家は六軒、五戸に雇われるもの三軒、六戸、九戸、一〇戸、一一戸に雇われるもの、それぞれ一軒である。これによってみると、一軒だけを雇う家数は雇用農家数の三三・三%、一戸だけに雇われるものは被雇用農家数の三八・五%で、その多くが雇用・被雇用関係において特定の相手方をもっているようである。
 つぎにこのむらの家々の専業・兼業についてみることにしよう。このむらには非農家が一一軒、その内訳は一反以下の一軒、勤め人二軒、商業四軒、不明一軒、農業などの日雇いにでるもの三軒であるが、この三軒と商業二軒あわせて五軒が、いわば農業労働者である。農家のうちに同じ役割りをするものが一六軒あることは前述のとおりであるが、そのうち一〇軒は経営面積が七反以上の経営中層であり、自家の農業を主としながら現金収入の補いとして賃かせぎをしているのである。七反以下層の一七戸はどのようにして現金収入を得ているのであろうか。五戸は農業専業であるが、その他の七戸は被雇用兼業によっており、県庁・市役所・国鉄の勤務三戸、工場へ通勤二戸、砕石場へ通勤二戸、自営兼業としては大工・屋根葺き二戸、商業三戸の五戸で、兼業が一二戸である。しかしこのような兼業は七反以上層にもあるのであって、七~一〇反層に六戸、一〇~一五反層と一五~二〇反層にそれぞれ一戸あり、それらの兼業内容は職人三戸、役場・市役所勤務・教員など五戸である。全体としてはこのむらに永住する農家四八戸のうち兼業は二〇戸、四一・六%であった。