新規居住者に関する定め

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このような「定め」に関連して「新規居住者について」という別の「定め」があり、「昭和二十五年一月の申合せ事項」をまず確認している。すなわち「一、部落内に於て出生し正規の分家をなしてより三カ年以上を経たるもの。二、血族(三親統)の縁故を有し、部落内定住七カ年以上を経たるもの。三、部落内に世帯を営み定住十カ年以上を経たるもの」。そして「新規居住者」のうち、右の三項目に該当するもの三戸、これに達せざるもの五戸を確定し、「居住年限及び右事項を参酌し……金を配分する」ことにした。これは「今回に限り」の定めである。
 さて、右にみたところで明らかなように、部落共有財産の所有は、部落の特定の家々の総体の所有ではあるが、しかしその特定の家々は数の上で減少したり増加することもあって、しかもこのむらから転出するときでも、その持分権の対価が支払われることはない。また特定の家といっても、固定した特定の家々の共有ではなく、一定の条件を満たしている不特定多数(特定の時期には特定多数)の家々が全体として所有するという性質の総有である。その総有の主体が村落協同体であり、「むら」の主体である。むらは今日もなお、このような性質を失っていない。