さて、明治二十二年に成立した行政村である小浜村と良元村との合併に話を進めよう。昭和六、七年ごろに小浜村と良元村との合併の話が、「両村有識者間に」あったようだが、その資料はいまのところみつかっていない。昭和十七年にまた両村合併の議が起こり、両村は委員を選出して合併問題を研究し、十八年五月までの間合同の協議懇談を重ねたが、ついに成らなかった。その間、良元村は西宮市との合併に傾き、西宮市もまた臨時西宮市隣接町村合併調査委員良元村担当委員を選び、十七年三月十日西宮市長並びに市会正副議長が良元村をたずね、西宮市・良元村合併の申入れをしている。西宮市は六月三十日に改めて臨時隣接町村合併調査委員七名を決定し、八月二十六日に良元村合併に関して協議した結果、近日中に良元村長をたずねることをきめている。このような記録によってみると、良元村当局は西宮市との合併の条件について検討し、合併の相手方として小浜村と西宮市とを両天秤(てんびん)にかけていたようで、結局どちらも合併話しが煮つまらなかったものと思われる。