昭和四十四年に新しい都市計画法が定められ、民間デペロッパーによる濫開発に歯止めをかけ、良好な都市環境を保全しながら、都市機能の調和を図るべく、地域、地区の設定をおこなった。都市計画法では、都市地域における無秩序な市街化を抑え、市街地を段階的かつ計画的に整備するために市街化区域と市街化調整区域とが設けられ、それぞれの区域に応じた整備・開発・保全などの諸方針を定め、マスタープランの制定化を示唆した。
宝塚市は、昭和四十四年十一月に、「宝塚市都市計画審議会」を設け、四十五年七月二十七日の審議会において阪神間都市計画区域として約一万〇一八〇ヘクタールを決定し、市街化区域約二二一七ヘクタール、市街化調整区域約七九七二ヘクタールを区分し、同年十月三十一日兵庫県告示の運びとなった。さらに用途地域として、住居地域約一九四四ヘクタール(うち住居専用地区約八四〇・一ヘクタール)、(八七・七%)商業地域約九四・九ヘクタール(四・三%)、準工業地域約一三〇・九ヘクタール(五・九%)、工業地域約四七・二ヘクタール(二・一%)が市街化区域内に設定された。この用途地域・地区は四十六年一月十六日に県により告示された。都市計画用途地域図によれば、住居地域とりわけ住居専用地区は六甲山系東斜面では、阪急今津線より西の住宅地帯、武庫川と今津線の間では昭和初期からの住宅地である中州が唯一の地域となり、また長尾山麓の南斜面では阪急宝塚線より北部の住宅地帯が指定された。準工業地域は阪神競馬場周辺・小浜・西田川付近、安倉などの伊丹市へ隣接する工場周辺、工業地域は大同酸素・宝塚ゼラチン・新明和工業の工場付近と東洋ベアリングの工場の周辺にしぼられている。商業地域は宝塚歌劇場および宝塚温泉を中心とする宝塚駅、宝塚南口駅付近の商店街ならびに旅館街、飲食店街のほか、阪急電車逆瀬川駅周辺・小林駅周辺・仁川駅周辺・清荒神駅周辺・売布神社駅周辺・中山駅周辺・山本駅周辺など、小売市場や日用品店などのある地域である。
その後、建築基準法の改正と、新都市計画法により用途地域の再編成がおこなわれ、住居地域は、第一種住居専用地域(九〇三ヘクタール)として特に良好な低層住宅の環境を保護する目的の地域、第二種住居専用地域(八二四ヘクタール)として特に良好な中高層住宅の環境を保護する目的の地域、そして住居地域に区分された。商業地域は、近隣商業地域(四一・七ヘクタール)として日用品店舗の立地する地域と、商業地域(五二・二ヘクタール)として業務の利便を増進する地域とに区分され、準工業地域(一一七ヘクタール)はやや縮小し、工業地域はそのままに定められた(図25参照)。