人口の集中による行政需要の増大と質的変化は、都市の行政組織、機構の膨大化、複雑化をまねく。しかも多様な市民の要望にこたえ、計画的に都市の発展をはかるためには、近代行政が展開されねばならないが、それは行政の高度化と専門技術化をもたらす。
たとえば福祉事務所は老人・障害者福祉のための福祉課、医療福祉などの社会課あるいは保護課、療育センターと細分される。また公害問題に対処するため、公害・安全対策課が設けられたり、下水道行政を推進するため下水道部が新設され、都市再開発のために都市計画部に再開発や都市改造調査課が設けられる。
現行組織と機構は、現在のように課係を中心とした事務執行体制をとるかぎり、あらたな需要の発生、事務の発生、機関委任事務の増加は機構の細分化を生むものである。しかもこの体制の欠陥は横の連絡の欠除であり、各部課の連絡調整や市としての総合性・統一性の確保がむつかしいことである。企画・調整部門の強化と、プロジェクトチームの活用によって弾力的に企画ならびに執行にあたることが、いたずらな機構の膨張を防止するのに役立つであろう。
機構・組織の膨張とともに職員数も増加し、市統計書によれば、四十二年の市職員総数七五二人が、四十五年に一〇一七人、四十八年には一四五一人へと増加した。この増加した職員が能率的に事務を執行するためには、研修によって資質の向上をはかるとともに、事務の近代化、能率化を推進する必要がある。