広域行政

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阪神間の市民が相互に流出入していることは第一節で述べた。そのうえ水系を同じくするという自然的条件、道路・鉄道などの連絡がよいという交通条件、古くからの住民の往来という歴史的、文化的、社会的条件もあって、阪神間諸都市には有機的連携のできる条件が存在する。その上、現在の行政サービスのなかには大規模な施設を必要とし、膨大な需要を対象とするものがある。これらの行政サービスの供給には、「規模の経済」が作用する。例えば、武庫川流域下水道の代わりに各市が下水処理場を設置すれば、コストが高くつくのみならず武庫川の上流で処理水を放流せざるを得ない。あきらかに流域下水道方式がすぐれている。
 このように「規模の経済」が作用し、「利益の拡散」が生じる行政サービスは広域行政になじむが、現在、宝塚市は昭和三十六年に六市一町からなる「阪神広域行政都市協議会」に加入し、「消防の相互援助協定」・「社会福祉法人阪神福祉事業団」・「阪神開発公社」・「阪神広域養護学校組合」など広域行政を推進している。ほかに武庫川流域下水道、猪名川流域下水道に加入し、一庫ダムを水源とする広域水道、産業廃棄物処理など広域行政によらなければ、宝塚市のみでは処理できない事業もある。行政需要の増大は、大都市圏における都市の広域行政を必然的なものにすると考えてよかろう。