[幕府直轄地時代]

 元禄5年(1692)、金森6代頼旹は出羽上山(山形県上山市)に転封となり、飛騨国は幕府直轄地となった。名城高山城も元禄8年、金沢藩により取り壊されてしまった。代官、後、郡代の合わせて25人、177年に及ぶ幕府直轄の時代である。代官、郡代の任期は3~7年と短かかったが、10年以上の任期の人もいた。第2代伊奈15年、第7代長谷川17年、第12代大原14年、第14代飯塚11年、第18代芝14年、第19代大井10年、と6人の代官、郡代が10年を超える。代官が郡代になったのは第12代の大原彦四郎代官のときで、検地による増石(元高4万4千285石が、安永検地では5万5千684石と25.7パーセント増になった・林格男『改訂大原騒動余聞』平成23年)により昇進したのである。
 幕府直轄地時代における重大な出来事は、高山城の取りこわし、武家屋敷の取りこわしと、その敷地分割売却、伐木計画の見直し、植林、大原騒動、飢饉対策、尊皇攘夷・討幕運動の波及などである。
 飛騨国における25人の代官、郡代について、それぞれの業績、活動の概要を次に紹介する。