1 初代 伊奈半十郎忠篤(ただあつ) 5年

     元禄5年(1692)~同10年(1697)
 元禄5年(1692)、飛騨は江戸幕府の直轄地となったが、その年の8月18日、伊奈忠篤(伊奈忠常の長子)は関東郡代を兼ねて飛騨国代官を命ぜられた。同年9月23日、高山城の請取りに高山へ入った。
 忠篤は政務の取扱いについての諸事項を幕府勘定所へ伺っている。それによると税制改革や金森氏に功労のあった地侍を優遇するための位名田(いみょうでん)の廃止、直轄領における農民の心構えをさとした条目の発布、山地に放置された木材の残務整理や商売運上の廃止など、18項目にも及んでいる。
 着任した翌年には新検地高によって税を定め、金森時代より軽くなったことを喜ぶ農民の声が伝えられている。
 29歳の若さでこの世を去った。