[はじめに]

 掲載史料は、高山市教育委員会が所蔵する「角竹(すみたけ)郷土史料文庫」(以下「角竹文庫」とする)「町会所文書」「住香草文庫」、そのほか寄贈、購入資料を中心とした。また、国立公文書館、国立国会図書館、金沢市立玉川図書館近世史料館、長野県立歴史館、岐阜新聞社、毎日新聞大阪本社、岐阜県立飛騨高山高等学校、東等寺、今井家、平田邦彦氏を始めとする各位が所蔵され、また発刊された貴重な史料の掲載許可をいただき、ここに掲載することができた。深甚の謝意を表し、御礼申し上げます。
 高山市域の歴史を知る上では、飛騨国、飛騨地域全体の中での歴史の動き、人々の動き、街道、地誌などを捕えて核心に迫る必要があり、飛騨市、下呂市、白川村をも視野に入れての史料掲載としている。
 掲載した絵図・地図は歴史の情報が豊富であり、東西南北の主要街道の変遷、隣国への里程、街道沿いの集落の変遷、関所の位置、交通網の発達経緯、高山線の開通などの全容が把握される。これにより、金森時代、幕府直轄地時代、近現代それぞれにおける政治支配、経済発展、文化交流の足跡を知ることができよう。
 江戸時代の国絵図から、現代の岐阜県地図までを掲載したが、高山市及び飛騨国の400年にわたる人々の歩みを空間的な広がりの中で確認する意義は大きい。文書のみでの歴史地理の記述には限界があり、地理の説明には膨大な文書量が必要であるが、絵図、地図では1枚で事足りることが多い。掲載図の情報が広く活用され、歴史・文化を活かしたまちづくり、集落活性化、歴史街道の活用、伝統文化の継承につながっていくことを望む。