[飛騨国の中世、近世]

 飛騨国は、現在の岐阜県の概ね北側半分を占め、南側半分が美濃国であった。岐阜県は「飛山濃水」と言い表され、美濃は水場の国、飛騨は山岳に象徴されてきた。標高3000メートルの日本の屋根である飛騨山脈から、海抜0メートルの海津市に至るまで、岐阜県内は変化に富んだ河川の流れを有している。
 飛騨国内の河川は国絵図の中で重要な構成要素として描かれている。これらの河川は、高山盆地南方の位山山系が分水嶺になり、北飛騨を流れて日本海に注ぐ庄川・神通川水系の河川と、南飛騨・美濃を流れて伊勢湾に注ぐ木曽川水系の河川に2分される。