第11図 [目録] |
この絵図は紅葉山文庫(もみじやまぶんこ・幕府の将軍のための文庫)の旧蔵で、現在、国立公文書館に所蔵される。飛騨国絵図の原図は1枚で、縦485×横383センチと大きい。第11図は分割撮影された4×5ポジ資料12枚を接合して再び1枚にした。これを3分割(第12~14図)して掲載した。
天保時代に全国諸藩が、幕府へ提出したものの内、飛騨国の絵図である。街道、河川、在所、隣国各地への里程が詳細に記してある。
大野郡、吉城郡、益田郡の表示があり、それぞれの郡界は黒色の太線で記される。第12図は益田郡(高根、朝日は第13図)、第13図は大野郡、第14図は吉城郡である。第11図の端書には次のとおり書かれている。
飛騨国高村数並郡色分目録 黄色 大野郡 高弐万弐千七拾七石八斗壱升四合 百三十六箇村 茶色 吉城郡 高弐万四千三百弐拾六石五斗九升八合 百七拾八箇村 薄紫色 益田郡 高壱万百九拾七石八斗九升七合 百箇村 高都合五万六千六百弐石三斗九合 村数 四百拾四箇村 天保九年戊戌五月 明楽飛騨守 田口五郎左衛門 大沢 主馬 |
※正保の絵図(第7図)では都合三万八千七百六十四石四計(と)とあり、天保時代には大きく増石している。
絵図には神社、寺の姿図が描かれ、口留番所の姿図もあるが、ポジ版の拡大のため鮮明な姿はわからない。高山では、一之町村、二之町村、三之町村に分けて表示され、八幡宮、日枝神社、照蓮寺の記載がある。
幕府の必要な情報としては、街道と村落、河川、寺社、口留番所、隣国への道筋と里程、山岳であったことがわかる。天保時代における在所の名称、主要街道がわかる好資料である。
註1 年代、寸法は「国絵図研究会編『国絵図の世界』柏書房2005年」の375頁 国絵図所在一覧表による。