第85図 [目録] |
この図は「飛濃自働車株式会社」が、定期運転道路を表示するために作った交通地図で、活字は小さい。越中国、信濃国、美濃国、越前国、加賀国の飛騨への隣接部分が記されている。
「主要ナル道路」は赤色の二重線で、「車ノ通ジ得ル道路」は赤色の単線、「歩行ノミノ道路」は赤色の点線で記される。電信取扱郵便局は〶の印が付され、久々野、小坂、三日町、夏厩、廣瀬町、町方、旗鉾、本郷などがある。また、郵便のみの郵便局は〒の印が付され、今見、大原、甲、上ヶ洞などがある。
街道を見ると、①江戸街道方面は野麦峠が主要道路で赤色の単線、日和田~長峰峠は歩行のみの道路で点線となる。町方からエビス峠越えをして長倉へ通ずる道は、車道となっている。
②越中街道は、今村峠越えが記されず、十三墓峠越えは蔵柱を通って本郷への車道になっている。杉崎から神原峠を越えて山田、船津へと通ずる道が二重線の主要道路になっている。この道は大正14年当時の越中東街道とされることもある。
③郡上白川街道は三日町で分かれる大原経由の郡上街道と、六厩、牧戸経由の郡上街道の2本とも二重線、一部単線の車道となっている。
④尾張街道は金山まで現在の国道41号で、金山から菅田、袋坂、神淵、殿村、関町、岐阜市へと通ずる。
飛濃自働車の定期運転道路は、平湯峠頂上(平湯まで延長されていない)から袋坂経由の岐阜市までである。高山線が開通する前の、定期運送を知ることができる道路図である。
鉛筆により、角竹喜登(註1)の戦国時代武将たちの書き込みがある。また、飛騨の部分には青色鉛筆による縁どりがある。
註1 角竹喜登は『高山市史上・下巻』を編纂した。