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〈伝承〉

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 日和田の原家に生国不明の「ちんま」という女性がいた。大変な美人で、また、大力の持ち主であったという。この頃、西洞の杣「小三郎」が日和田付近に樵に来ていた。「ちんま」と「小三郎」はいつしか恋仲となり、夫婦の約束までした。
 ある日、「小三郎」が、雌池の畔で仕事をし、食事後空になった「メンパ」を池に浮かべて置いたところ、大きな「イワナ」が二匹入っていた。「小三郎」は杣小屋に帰り、これを食べたところ、美味しかったので、友にと残しておいたもう一匹も食べてしまった。
 すると不思議なことに間もなく喉(のど)が渇き始め、川の水を飲み続けた後、ついに大蛇に姿を変え、周囲を池にしてしまった。この後、「ちんま」もかき消すように姿を消した。
 その後、雌池は次第にあせて行き、杣「小三郎」が作った池ばかりが大きくなった。
 杣「小三郎」が食べた「イワナ」は、「小三郎」を追ってきた「ちんま」が姿を変えたものであり、「ちんま」は元々、雌池に住む竜神で、「小三郎」を竜に変え、杣ヶ池で仲良く暮らしているという話もある。(「高根村地域財資料」)より)