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目次
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第一章 飛騨の街道を行く
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第一節 江戸時代の街道を行く
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(3)江戸街道その2(薮原)
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②街道沿いにのこる見所
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(ア)江名子(江名子町)
〈荏野文庫〉(江名子町)
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国学者田中大秀の文庫蔵で、荏名神社の境内にあり、火災と鼠害(そがい)に備え池の中に建てられている。天保十五年(一八四四)六月二十九日釿始。京都神楽が岡の土を運び、飛騨国内各社の注連縄を集めて苆(すさ、つた、すたともいう)に使ったと伝えられる。上階の前面に明かり窓をつけ、窓の上に大秀自ら「荏野文庫弘化乙巳秋」としたためた本額が掲げてあった。
階下の正面に大秀の木造を安置する。木像は高さ四十五センチメートル、膝幅三十六センチメートルの坐像で左の背銘がある。
荏名神社再興斎主六十三翁田中大秀之像
天保十年己亥五月 京都田中松慶刻
文庫内の蔵書は、大秀没後高弟山崎弘泰の花里文庫に移され、大正元年(一九一二)売りに出たのを吉島休兵衛ほか五氏の援助で高山町教育会が購入した。現在、五百十九部千五百十六冊が県の文化財(典籍)に指定され、高山市で収蔵している。
1-1-(3)-3 荏野文庫