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〈道分灯篭〉(江名子町)

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 荏名神社の前、江戸街道と村道との分岐点にあり、菊田秋宜(あきよし)の建立した風流な灯篭である。掉(さお)石の四面に左記の文字が刻まれている。
   献燈 荏名神社大前
          みのぶさん
     左 江戸        道
          ぜんこうじ
   行列の見事乗鞍かさが岳
   やりさへ高くふれるしら雪 秋宜
   天保壬辰春三月 菊田秋宜

1-1-(3)-4 江戸街道と村道の分岐点

 狂歌は北アルプスの山名をもじって大名行列に仕立てた趣向、身延山は山梨県にある日蓮宗総本山久遠(くおん)寺、天保壬辰は天保三年(一八三二)である。

1-1-(3)-5 道分灯篭

 秋宜は通称泰蔵、大井帯刀郡代の元締手代で文雅に長じ、書や狂歌をよくした。嘉永元年(一八四八)十月十八日没、法号良静、大阪屋で建てた墓が法華寺山にある。日蓮宗の信徒であったと思われる。
 現在の江名子町は上江名子町(南側)と下江名子町(北側)の二つの町内に分かれており、江戸街道は下江名子町内会の区域を通って江名子小学校の前を通り、山口町へと向かう。そこから「畑殿屋敷跡」「泉水」を通って山口へと越すルートと、高山病院、市営住宅前を通るルートがある。いずれも山口の了心寺前で合流する。