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[年取り行事]

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 年取りは、飛騨で十二月三十一日に家族水いらずで行なう、神聖な行事である。夕方、皆、風呂に入り、仏壇にまいる。そして、御馳走が並んだ食卓につき、今年一年を振り返り、来年の幸を祈るのである。旅(市外、よそのこと)の大学や、勤めに行っている子供たちも戻ってきて、親たちにとって誠にうれしい日でもある。
 この行事の食卓には、ブリが載っていて、これがまたすごくおいしい。十一月頃から富山湾に回遊してくる脂の乗りきったおいしいブリが、江戸時代から飛騨へ入ってきた。出世魚といってツバイソ、フクラギ、ガンド、ブリと名前が変わり、出世縁起を託している。ブリが買えないときは、煮イカを代用したが、これもまた年取りのときの、おいしい料理でもある。
 最近、このブリが注目され、ブリが運ばれてきた越中街道をブリ街道として命名されてもいる。しかし、元々この街道は、越中往還、越中街道、越中から言えば飛騨街道といって、日本海側と内陸経由で尾張、美濃、信州を結ぶ重要な南北街道であった。塩、魚、薬などが重要運搬産物である。この街道は、「越中東海道」、「西街道」などに分かれている。

1-1-(4)-3 年取り行事


1-1-(4)-4 出世魚のブリ