化石が発見される地域は、白山を中心とした岐阜・石川・富山・福井の四県にまたがって広がる「手取層群」の広大な地域で、昭和十五年の「地質学雑誌」に観察した主な事実が報告された。それによると「手取層群」は今からおよそ一億八千万年前のジュラ紀中期から、白亜紀の中頃の一億一千万年前にかけて堆積したもので、戦後間もない昭和二十四年、野々俣と牛丸それに尾上郷で、地質学者前田四郎(現千葉大学名誉教授)博士が、食べるものに事欠き、林道もない山の中を自分の足で野宿しながら、化石調査をしている。その結果は、「手取層群より」と題する論文として発表された。それが後に、化石発見の貴重な資料となって、先駆者前田四郎博士は、地質学会から尊敬されるようになった。
1-1-(6)-28 荘川の化石