5-2-(6)-1 上ヶ洞口御番所取立口役銀品別一覧表 |
◎ 上ヶ洞口番所口役銀取立帳5冊集計概略 | |||||
取立帳年月 | 役荷物通過日 | 口役銀取立件数 | 取立口役銀量 | 新暦対照月日 | |
文政2年12月分 | 29日中 9日 | 32件 | 70匁 2厘 | 1月16日~2月13日 | |
弘化2年 8月分 | 29日中 26日 | 66件 | 282匁5分 | 9月 2日~9月30日 | |
嘉永3年 1月分 | 30日中 13日 | 33件 | 152匁3分6厘 | 2月12日~3月13日 | |
文久4年 3月分 | 30日中 27日 | 105件 | 390匁 3厘 | 4月 6日~5月 5日 | |
元治元年 5月分 | 30日中 30日 | 126件 | 253匁6分5厘 | 6月 4日~7月 3日 | |
①文政2年(1819)12月分 | |||||
◎ 飛騨より信州側へ売り出されたと考えられるもの | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 蕨の花 | 3 | 9石4斗2升 | 28匁1分2厘 | 中洞村六蔵・高山一之町左助・同勘兵衛 |
2 | 干蕨(ほしわらび) | 1 | 6貫 | 7匁5分8厘 | 高山三之町作次郎 |
備考 | ○蕨の花=蕨粉。値段が高く、口役銀も高額である。 | ||||
○地元で生産されたものも、仲買人の手によって国外へ運ばれる場合が多い。 | |||||
◎ 上ヶ洞口を通って信州側から飛騨へ入ったと考えられるもの (一)食品 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 玉子 | 5 | 800こ | 56匁 | 高山島川原善兵衛・同伝兵衛・三之町佐助ほか高山2人 |
2 | そば | 1 | 6斗4升 | 9分6厘 | 高山向町善吉 |
3 | 胡麻(ごま) | 1 | 5升 | 4分5厘 | 高山二之町作助 |
4 | 酢(す) | 1 | 4升 | 3分6厘 | 高山八幡町忠助 |
5 | 山葵(わさび) | 1 | 2斗 | 1匁 | 高山三之町作次郎 |
6 | 干瓢(かんぴょう) | 2 | 3貫 | 7分 | 高山一之町茂助・新町市郎左衛門 |
7 | 細魚(さいぎょ) | 1 | 300 | 8分1厘 | 高山三之町作次郎 |
備考 | ○玉子は年々増えていく。 | ||||
○荷主または運搬者は、高山の人が多くなる。 | |||||
◎ 同上 (二)衣料・小間物・雑貨・その他 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 小間物 | 2 | 800目 | 6分6厘 | 高山向町豊蔵・越中七右衛門 |
2 | 刻煙草(きざみたばこ) | 3 | 2貫 | 2匁5分1厘 | 高山三之町作次郎・空町長次郎・一之町茂助 |
3 | 古手(ふるて) | 1 | 2ッ | 6分2厘 | 高山二之町清右衛門 |
4 | 櫛(くし) | 2 | 580具 | 5匁2分2厘 | 越中2人 |
5 | 櫛形木(くしがたき) | 1 | 1,200枚 | 6匁 | 小坂落合村平兵衛 |
6 | 面桶 | 1 | 30 | 8分1厘 | 同 上 |
7 | 絸しけ(まゆしけ) | 1 | 2貫 | 1匁9分2厘 | 高山二之町清右衛門 |
8 | 屑紙(くずがみ) | 1 | 2貫 | 5分 | 高山三之町作次郎 |
9 | 抜手綿(ぬきてわた) | 1 | 3ッ | 6分1厘 | 高山二之町清右衛門 |
10 | 二升鍋 | 1 | 2ッ | 4分4厘 | 高山一之町茂助 |
備考 | ○絸しけ=品質の悪い繭。 ○抜手綿=あわせからとり出した綿。くず綿。 | ||||
○屑紙は紙の原料に使った。 | |||||
○高山の商人か歩荷、荷運びを生業としている。作次郎・茂助・清右エ門ら。 | |||||
◎ 移出・移入の区別がつかないもの | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 売薬 | 1 | 300目 | 2分4厘 | 越中富山甚兵衛 |
備考 | ○富山の薬売りは信州廻りで飛騨へ入ることもあったといわれる。 | ||||
◎ その他(欄外の記録) | |||||
唐桧葺榑 72束 仲買人 大古井村伝十郎 (大原騒動死罪伝十郎の子孫である) |
②弘化2年(1845)8月分 | |||||
◎ 上ヶ洞口を通って飛騨から信州側へ売り出されたと考えられるもの | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 上馬 | 1 | 1疋 | 1匁 | 信州稲扱忠蔵 |
2 | 中馬 | 2 | 5疋 | 3匁3分 | 信州稲扱忠蔵・同彦右衛門 |
備考 | ○この馬が飛騨から信州側へ出たという確証はない。日和田の馬大尽の話はもっとあとになる。荷主が信州人であるので、飛騨側が買い入れた馬かもしれない。 | ||||
◎ 信州側から飛騨へ入ったと考えられるもの (一)食品 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 玉子 | 18 | 4,920 | 34匁2分2厘 | 信州1人のほかは高山10余人で小規模に運ばれている。 |
2 | 鰹節 | 1 | 48本 | 8分6厘 | 信州□□村忠吉 |
3 | 干こんにゃく | 1 | 1貫 | 1匁 | 信州松本利七 |
4 | 林檎(りんご) | 3 | 3石 | 4匁7分6厘 | 野麦村助次郎・新張村兵蔵ほか |
5 | 小梨子(こなし) | 3 | 4,700 | 3匁3分6厘 | 高山八幡町浅吉・高山空町治兵衛 2人 |
備考 | ○この取立帳でも玉子が大きな比重を示している。 | ||||
○りんごがすでに信州から国外へ売り出されているが、なぜか枡で量られている。 | |||||
◎ 同上 (二)小間物・衣料関係・雑貨等 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 小間物 | 4 | 1貫800目 | 1匁4分5厘 | 信州出身者4人 |
2 | 真綿 | 3 | 22貫690目 | 161匁1分1厘 | 高山新町佐助・空町権助・八幡町佐助 |
3 | 刻煙草(きざみたばこ) | 4 | 7貫800目 | 6匁8分7厘 | 小八賀町方村作右衛門・八幡町久右衛門・向町茂助 |
4 | 蚕種 | 3 | 41枚 | 4匁9分2厘 | 信州上田3人 |
5 | 上膳 | 1 | 232枚 | 35匁7分 | 高山三之町茂助 |
6 | 硯箱 | 1 | 42 | 1匁8分5厘 | 同 上 |
7 | 合羽 | 1 | 1ッ | 7分 | 高山二之町次助 |
8 | 芍薬(しゃくやく) | 2 | 70斤 | 1匁4分5厘 | 高山川原町清助・野麦村重助 |
備考 | ○高山三之町村茂助と向町茂助は同一人物である可能性がある。 | ||||
○蚕種は高山でも生産されたが、ここでは信州上田産のものである。 | |||||
◎ 移出か移入か判断できないもの、または通過荷物と考えられるもの | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 売薬 | 5 | 5貫900目 | 3匁1分2厘 | 信州高遠・同稲扱・越中富山・上州仁右衛門 |
2 | 櫛 | 1 | 80具 | 7分1厘 | 越中石動清右衛門 |
3 | 塗折敷 | 1 | 2束 | 1匁6分8厘 | 越中四方重助 |
4 | 重箱 | 1 | 8組 | 1匁8分4厘 | 同 上 |
5 | 面桶 | 2 | 56 | 1匁5分2厘 | 越中高岡清五郎 |
6 | そうけ | 1 | 16 | 6匁9分 | 野麦村重助 |
備考 | ○荷主の出身地からみて、飛騨を通って他国へ運ばれているものが多いように思われる。 | ||||
○そうけ=ざる。 |
③嘉永3年(1850)正月分 | |||||
冬期に入ると、人や物の往来はごくまれで、この「口役銀取立帳」に口役荷物の記帳が始まるのは1月14日、新暦の2月25日である。飛騨側からの出荷物はみられない。 | |||||
◎ 上ヶ洞口を通って信州側から飛騨へ入ったもの | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 玉子(たまご) | 12 | 3,450こ | 24匁1分5厘 | 12件すべて高山の寺内町・川原町・八幡町・新町等の人々 |
2 | 小間物(こまもの) | 2 | 600目 | 5分 | 信州松本乙十郎ほか |
3 | 刻たばこ (きざみたばこ) | 4 | 33貫300目 | 42匁2分9厘 | 高山新町徳兵衛25貫600・川原町三右衛門7貫など |
4 | 真綿(まわた) | 1 | 9貫500目 | 67匁4分5厘 | 高山新町佐助 |
5 | 櫛(くし) | 1 | 50具 | 4分5厘 | 信州松本吉助 |
6 | 重箱(じゅうばこ) | 2 | 8組 | 1匁8分4厘 | 高山空町権助・高山二之町彦助 |
7 | 塗折敷(ぬりおしき) | 2 | 4束 | 1匁8分 | 同上2人 |
8 | 指枕(さしまくら) | 2 | 60 | 1匁6分2厘 | 同上2人 |
9 | 火打茸(ひうちごけ) | 1 | 22貫 | 1匁5分4厘 | 高山寺内町弥吉 |
10 | 麻種(あさだね) | 1 | 6斗 | 3匁1分8厘 | 江名子村彦右衛門 |
11 | 二升鍋(にしょうなべ) | 1 | 1ッ | 3分6厘 | 高山寺内(じない)町吉右衛門 |
12 | 芍薬(しゃくやく) | 1 | 110斤 | 1匁6分 | 高山川原町清助 |
13 | 桔梗(ききょう) | 1 | 20斤 | 1匁 6厘 | 同 上 |
備考 | ○芍薬・桔梗の根を生薬に用いた。 | ||||
○荷主または運搬する者 ほとんど高山町の人々。(歩荷を生業としている人々と考えられる。) | |||||
◎ 移入荷物か移出荷物か判断しにくいもの | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 売薬 | 1 | 300目 | 2分5厘 | 越中富山又吉 |
備考 | ○越中富山の薬売り又吉がこの口番所を通ったのは1月22日(新暦3月5日)であるが、彼が信州側から飛騨へ入ったのか飛騨側から信州へ向かったのかよくわからない。 |
④文久4年(1864)3月分 | |||||
上ヶ洞口の1か月分口役銀取立帳としては、最高の額を示している。 | |||||
また、時代の変化か新しい物品が目立ち、荷主(歩荷)の名前の中にも新人が多くみえる。 | |||||
◎ 上ヶ洞口を通って飛騨側から信州側へ売り出されたと考えられるもの | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 蕨粉(わらびこ) | 1 | 4斗 | 1匁3分8厘 | 高山三之町為助 |
2 | 羚羊皮 (かもしかのかわ) | 1 | 6枚 | 1匁8分 | 高山三之町権兵衛 |
3 | 鹿皮(しかがわ) | 1 | 7枚 | 3匁8分 | 高山空町仙三郎 |
4 | 鉛(なまり) | 1 | 200貫 | 40匁 | 高山一之町吉右衛門 |
5 | 塩硝(えんしょう) | 1 | 75斤 | 15匁2分5厘 | 高山一之町甚助 |
6 | 硫黄(いおう) | 1 | 10貫 | 2匁3分 | 同 上 |
備考 | ○羚羊と鹿の区別はよくわからない。 | ||||
○鉛・塩硝・硫黄などは法的規制がたびたび変化する。このころは制限がゆるめられていたかも。 | |||||
◎ 上ヶ洞口を通って信州側から飛騨へ入ったと考えられるもの (一)食品 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 米 | 2 | 6斗4升 | 1匁2分8厘 | 野麦村助次郎・善右衛門 |
2 | 鶏卵(けいらん) | 27 | 9,850こ | 69匁3分4厘 | 23件は高山川原町・空町・向町・新町・八幡町などの人々。3件は信州。300、400単位。 |
3 | 素麺(そうめん) | 13 | 211貫500目 | 57匁1分5厘 | 信州2人で96貫。あと11件は高山川原町・空町・向町などの人々。6貫、12貫、24貫単位が多い。 |
4 | 串海鼡(くしなまこ) | 1 | 70桁 | 4匁3分5厘 | 高山三之町周右衛門 |
5 | 唐粉(からこ) | 1 | 2斗5升 | 2匁5分 | 野麦村助次郎 |
備考 | ○玉子が鶏卵と表記されるようになる。その量も急に増えている。 | ||||
○このころ素麺の移入量も多くなる。 | |||||
○野麦村助次郎、荷主(歩荷か)としてたびたびその名が出てくる。 | |||||
◎ 同上 (二)小間物・衣料・雑貨等 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 小間物 | 8 | 21貫300目 | 17匁2分2厘 | 高山空町仙三郎7貫・鉄砲町忠吉7貫ほか越中氷見等 |
2 | 刻煙草(きざみたばこ) | 8 | 76貫500目 | 97匁1分1厘 | 信州松本彦右衛門35貫・善次郎28貫ほか高山4人 |
3 | 芍薬(しゃくやく) | 1 | 40斤 | 2匁4分 | 高山川原町平次郎 |
4 | 櫛(くし) | 5 | 2,190具 | 8匁7分3厘 | 高山新町治兵衛560具ほか越中高岡・加州金沢 |
5 | 重箱 | 1 | 4組 | 9分2厘 | 塩屋村与九郎 |
6 | 塗折敷(ぬりおしき) | 1 | 2束 | 5分4厘 | 同 上 |
7 | 指枕(さしまくら) | 1 | 30 | 8分1厘 | 同 上 |
8 | 竹陽子(たけようじ) | 1 | 100本 | 7分 | 高山空町仙三郎 |
9 | 面桶 | 2 | 100 | 2分7厘 | 高山新町徳三郎・同次兵衛 |
10 | 諸紙(しょし) | 1 | 6貫 | 2匁5分2厘 | 高山新町儀助 |
11 | 屑紙(くずがみ) | 1 | 7貫 | 1匁5分 | 高山宗猷寺町栄蔵 |
12 | 蚕種(かいこだね) | 1 | 6枚 | 1匁5分 | 信州上田作右衛門 |
13 | 釘(くぎ) | 2 | 30把 | 5分4厘 | 高山新町直蔵・高山川原町長作 |
14 | 面桶 | 2 | 100 | 2匁 2厘 | 高山新町治兵衛 |
15 | しゅろ箒(ほうき) | 1 | 60本 | 3匁 | 信州□□村儀助 |
16 | 合羽 | 2 | 11枚 | 7匁8分1厘 | 高山空町仙三郎・鉄砲町忠吉 |
17 | 真綿 | 2 | 2貫200目 | 15匁6分2厘 | 高山一之町忠右衛門2件 |
18 | 木綿 | 1 | 2反 | 4分2厘 | 美濃国菊次郎 |
19 | 古手 | 1 | 2枚 | 6分2厘 | 高山片原町宇助 |
20 | 籠□ | 3 | 32 | 1匁1分1厘 | 高山二之町安兵衛・空町仙三郎・新町儀助 |
21 | 火打茸 | 2 | 9貫 | 6分3厘 | 高山二之町安兵衛・向町平蔵 |
22 | 筲箕(ふごみ) | 1 | 24 | 4分3厘 | 信州□□辰五郎 |
23 | 四升鍋 | 1 | 2枚 | 8分1厘 | 高山新町直蔵 |
24 | 銭 | 1 | 2貫100目 | 4分1厘 | 高山新町宇兵衛 |
備考 | ○わずか1か月の間に食品のほかに24品目47件の小間物・雑貨などが往来している。 最も多いのは食品では玉子、雑貨では刻煙草である。当時、役人の接待に必ず煙草が出された。 | ||||
○荷主(歩荷)は高山町が最も多いのは変わらないが、名前はかなり変わってきている。 | |||||
○櫛は荷主が高山の場合は、高山町の商店に卸されたものと判断して、この項へ入れた。 | |||||
◎ 移入・移出の判断がつけがたい品目 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 売薬 | 5 | 2貫600目 | 20匁7分 | 越中富山2人・加賀大聖寺1人・信州松本1人・高山町1人 |
2 | 薬種 | 1 | 17貫500目 | 14匁 | 信州松本喜多右衛門 |
備考 | ○富山の薬売りは信州経由で飛騨へ入る場合もあったが飛騨を通って信州へ向かう人々もかなりいたらしい。 | ||||
○高山町にも薬屋はあったが、飛騨産の薬種が外へ出る場合もあったので、移出入不明とした。 |
⑤元治元年(1864)5月分 | |||||
◎ 上ヶ洞口を通って飛騨から信州側へ売り出されたと考えられるもの | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 蕨粉(わらびこ) | 4 | 3石8斗 | 12匁9分2厘 | 高山新町喜助1石6斗・川原町平次郎1石2斗・黍生村8斗・一之町茂八2斗 |
2 | 上馬 | 20 | 24疋 | 31匁6分8厘 | 日和田1・池ヶ洞7・中洞7・下岡本3・大西2・猪ノ鼻1疋 |
3 | 中馬 | 9 | 10疋 | 8匁2分 | 池ヶ洞2・中洞3・上ヶ洞1・小瀬ヶ洞1・下岡本2・大西1 |
4 | 中牛 | 4 | 8疋 | 5匁2分8厘 | 野麦村3人で7疋・下ノ向村1疋 |
5 | 椹桶木(さわらおけぎ) | 4 | 308束 | ――― | 一之宿村中嶋清左衛門250束・中洞村重蔵25束、ほか |
6 | 椹小物桶木 (さわらこものおけぎ) | 1 | 30束 | ――― | 一之宿村中嶋清左衛門30束 |
備考 | ○蕨粉も高山の仲買人が荷主となっている。 | ||||
○馬・牛が増えているが、日和田の馬大尽とのかかわりかもしれない。 | |||||
◎ 上ヶ洞口を通って信州側から飛騨へ入ったと考えられるもの (一)食品 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 米 | 1 | 3斗2升 | 6分4厘 | 黍生村清助。口役銀は米1斗に銀2分である。 |
2 | 稗(ひえ) | 3 | 1石8斗 | 1匁8分 | 池ヶ洞村弥蔵・同権右衛門・中洞村進之丞。口役銀は米の半分。 |
3 | 素麺(そうめん) | 6 | 79貫 | 23匁4分9厘 | 高山八幡町庄兵衛・同浅七・川原町長作・古川町村太助ほか |
4 | 鶏卵(けいらん) | 15 | 3,500こ | 24匁5分 | すべて高山町。天照寺町・川原町・向町・八幡町・新町・鉄砲町ほか |
5 | 饂飩粉(うどんこ) | 1 | 3斗 | 8分1厘 | 高山向町定次郎 |
6 | 胡麻(ごま) | 1 | 1斗5升 | 1匁3分5厘 | 高山寺内町弥兵衛 |
7 | 串海鼡(くしあわび) | 2 | 40桁 | 2匁4分8厘 | 高山寺内町弥兵衛・天照寺町藤助 |
備考 | ○商い(歩荷)のため、1カ月に2度、3度、上ヶ洞口を通る者(高山)も多い。 | ||||
○鶏卵はほとんど高山の町人が食べたと思われる。 ○饂飩粉も初めて登場。 | |||||
◎ 同上 (二)小間物・衣料・雑貨等 | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 小間物(こまもの) | 3 | 3貫500目 | 3匁7分7厘 | 高山二之町清助・向町新五郎・信州松本力蔵 |
2 | 刻煙草(きざみたばこ) | 10 | 34貫400目 | 43匁6分8厘 | 松本重兵衛18貫ほか高山7人・越中富山1人 |
3 | 入煙草(いりたばこ) | 1 | 12斤 | 1匁2分7厘 | 高山向町米蔵 |
4 | 櫛(くし) | 1 | 100具 | 9分 | 高山嶋川原町権助 |
5 | 上膳(じょうぜん) | 1 | 10 | 1匁5分 | 高山向町新五郎 |
6 | 面桶 | 4 | 172 | 6匁1分2厘 | 高山欠ノ上粂右衛門・同直右衛門・広瀬町村□右衛門 |
7 | 藁蓑(わらみの) | 1 | 4ッ | 2分 | 高山八幡町浅七 |
8 | 重箱 | 4 | 30組 | 6匁9分 | 高山欠ノ上粂右衛門・直右衛門・新町安兵衛 |
9 | 指枕(さしまくら) | 1 | 30 | 8分1厘 | 高山欠ノ上粂右衛門 |
10 | 塗折敷(ぬりおしき) | 3 | 12束 | 3匁2分4厘 | 高山欠ノ上粂右衛門・同直右衛門・越中四方由兵衛 |
11 | 糸枠(いとわく) | 5 | 76 | 2匁4分4厘 | 高山八幡町浅七・川原町長作・鉄砲町惣七・二之町権兵衛 |
12 | 笠緒(かさお) | 1 | 200筋 | 3分 | 高山二之町仙三郎 |
13 | 琉球(りゅうきゅう) | 1 | 30枚 | 1匁8分 | 高山天照寺町藤助 |
14 | 火打茸(ひうちごけ) | 1 | 12貫 | 8分4厘 | 高山二之町仙三郎 |
15 | 屑紙(くずがみ) | 1 | 1貫 | 2分5厘 | 高山川原町長作 |
16 | 茶碗(ちゃわん) | 1 | 20 | 5分 | 高山一之町粂右衛門 |
17 | 釘(くぎ) | 1 | 120把 | 2匁1分6厘 | 高山八幡町弥兵衛 |
18 | 浅黄□ | 2 | 4束半 | 3匁2分6厘 | 高山向町新五郎・能州輪島又兵衛 |
19 | 古手(ふるて) | 1 | 4枚 | 1匁2分4厘 | 尾州武兵衛 |
20 | 草鞋(わらじ) | 1 | 150足 | 5分 | 野麦村兼右衛門 |
21 | 芍薬(しゃくやく) | 1 | 20斤 | 1匁5分 | 高山嶋川原町藤七 |
22 | 桔梗(ききょう) | 1 | 20斤 | 1匁2分 | 同 上 |
23 | 薬種(やくしゅ) | 3 | 20貫300目 | 12匁2分4厘 | 高山川原町平次郎15貫ほかに信州松本喜兵衛5貫など |
備考 | ○入煙草は出煙草と対照した言葉。高山地方でも煙草は栽培されたが、品質が劣るとして、信州より大量の刻煙草を移入し、国内産に混ぜて販売した。刻煙草は貫目、入煙草は斤(きん)で扱われた。入煙草が高級品であることを示している。 | ||||
○こうした口役銀取立帳をみると、飛騨も商品経済の時代に入っていることがわかる。 | |||||
○草鞋は藁のない非稲作地域の人々が買っている。藁を買う場合も多かった。 | |||||
◎ 移出・移入の判別がむずかしいもの | |||||
品 目 | 記帳件数 | 数量合 | 口役銀合 | 主な荷主の名前・出身地等 | |
1 | 売薬(ばいやく) | 2 | 600目 | 4分5厘 | 越中富山・高岡 |
2 | 櫛(くし) | 5 | 3,600具 | 3匁2分4厘 | 越中富山 |
3 | 諸紙(しょし) | 1 | 2貫 | 8分5厘 | 越中八尾 |
4 | 絸しけ(まゆしけ) | 1 | 2貫 | 1匁9分 | 越中高岡 |
5 | 蜜(みつ) | 1 | 35斤 | 6匁3分2厘 | 中洞村進之丞 |
6 | 植木(うえき) | 1 | 29本 | 1匁 | 越中富山 |
備考 | ○櫛は荷主が越中の人であれば、信州から越中まで運ばれる通過荷物と考えた。 | ||||
○諸紙には飛騨産・美濃産・越中産があるが、ここでは通過荷物と考えた。 | |||||
○絸しけ(品質の劣る繭)が国境を越えて商いされる理由はよくわかっていない。 | |||||
○密の記帳は珍しく、中洞村でとれたものと思われるが、決め手がないので不明とした。 | |||||
○植木の記帳も珍しく、29本で口役銀1匁であるから、なにかの苗木であろうか。 |